無線工学の解説サイトなんかを見ていると、dBの計算(換算、変換)について書かれているのをちょくちょく見かける。でも、なんか難しく考えすぎているような…。
基本
実際のところは簡単な話で、真数(元の数)を2の巾乗(べき乗)で並べると、デシベルは3の倍数で並ぶ。基本、これを覚えておけば大丈夫。
真数 | dB |
---|---|
1 | 0 |
2 | 3 |
4 | 6 |
8 | 9 |
16 | 12 |
32 | 15 |
64 | 18 |
128 | 21 |
256 | 24 |
512 | 27 |
1024 | 30 |
ただし、概数。なので、これ以上行くと、誤差がどんどん大きくなってくる。例えば、30dBは正しくは1000倍。ついでに、10dBが10倍。これくらい覚えておけば、というか、仕組みを知っていれば問題ないでしょ。途中の数字は適当に補間して考えるわけだけど、5倍が7dBということを覚えておくと便利かも。
それと、真数では掛け算が、dBだと足し算で計算できるということ。これが便利だからdBを使うんだと思う。上の表を言い換えると、2倍になるごとに3dB増える(3ずつ足す)ということ。逆に言えば、1/2は-3dB。なので、先程の「5倍は7dB」を覚えていなくても、10倍(10dB)の半分(-3dB)なので、7dBと計算でも出せる。
例えば、500倍。これは、5×10×10に分解できる。なので、dBでは、7dB+10dB+10dB=27dBということ。上の表だと512が27dBになっているけど、これは誤差。正確な計算だと、10×log 500 = 26.987… 。500倍だと27dBには足らず、512倍だと27dBを超える。ま、誤差でしょ?2倍だって、本当は、10×log 2 = 3.010299… なんだから。
逆に、dBから真数を求める場合。例えば、46dB、これは、40dB+6dBなので、104×4=40000倍。一応説明すると、40dB=10dB+10dB+10dB+10dB(10dBが10倍なので、真数を求めるために掛け算にすれば10を4乗したもの)で、6dBは上の表から4倍。これらを掛け算(104×4)すれば真数の40000が算出できる。
ちなみに、上の表を続けると、2048が33dB、4096が36dB、8192が39dB、16384が42dB、32768が45dB、65536が48dB。このことから、46dBは32736と65536の間だということがわかるので(概略の)検算にもなる。という具合に、真数で計算すると非常に大きな数字になって扱いにくいけど、dBなら小さな数字の計算で済むので楽。さらに余談をするならば、デジタル屋なら216=65536くらいまではそらで言えるはず^^
もう一例として、4dB。これは10dB-6dB。引算は割算になるので、10÷4=2.5。
なお、dBが3の倍数と言うのは電力の場合。電圧だとその倍(言い換えれば6の倍数)。そういえば、昔、3の倍数で変になる芸人がいたなぁ。あれはデシベル芸だったのかw
マイナスdBの場合
デシベルの値がマイナスの場合は、真数では分数にすればOK。プラスの場合と比較しやすいように並べて表にしてみる。
真数 | dB | 真数(分数) | 真数(小数) | dB | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 0 | 1/1 | 1 | 0 | |
2 | 3 | 1/2 | 0.5 | -3 | |
4 | 6 | 1/4 | 0.25 | -6 | |
8 | 9 | 1/8 | 0.125 | -9 | |
16 | 12 | 1/16 | 0.0625 | -12 | |
32 | 15 | 1/32 | 0.03125 | -15 | |
64 | 18 | 1/64 | 0.015625 | -18 | |
128 | 21 | 1/128 | (略) | -21 | |
256 | 24 | 1/256 | (略) | -24 | |
512 | 27 | 1/512 | (略) | -27 | |
1024 | 30 | 1/1024 | (略) | -30 |
1/128以下は小数だと細かくなりすぎるので省略。
文章では表現しづらいけれど、表を見れば一目瞭然だと思う。プラスdBの方だけ覚えておけばマイナスdBも簡単にわかる。
まとめ
- 真数(元の数)を2の巾乗で並べると、デシベルは3の倍数で並ぶ(電力の場合。電圧はその2倍)
- マイナスdBは分数
- 他に覚えておくと便利なのは、5倍が7dB、10倍が10dB
- 真数の掛け算はデシベルでは足し算で計算できる(真数の割り算はデシベルでは引き算)
コメント欄に非常に有益なアドバイスを頂いております。そちらも合せてご覧下さい。このページの下の方です。
コメント
こんばんは。
デシベルの計算式(10 log n or 20 log n)だけ覚えておくと、最近の国試では対数の値は問題文で与えられると思います。
実際の電卓無しでの計算は、上記の log 2 = 0.30 の他、log 3 = 0.48 (0.477)を覚えておくと、1~9倍までの整数倍は
1, 2, 3, 4=2^2, 5=10/2, 6=2×3, 8=2^3, 9=3^2と、
「7倍以外」は計算できます。
7倍は概数になりますが、
7 = (7 x 7)^0.5 ≓ (100 / 2)^0.5
と近似してやると
log 7 ≓ 0.5 log (100/2) = 0.5(2 – 0.3) = 0.85
とおおよその値が求められます。(電卓で計算するとlog 7 = 0.845です)
なるほど、ありがとうございます。
表にすると、こんな感じですね。
あれ?なぜか枠線が表示されず、見づらい…。
7は、たしかにそう計算すれば出せますね。でも、覚えちゃったほうが早いかも。
そうなんですよ、覚えられればそれがいいです。ただ、これ、最近年一回はどっかに書いてるのですが、やっぱりすぐにlog 7は忘れちゃいます。log 2、 log 3は昔の無線とか電子工作雑誌でこの2つを覚えておけばOKと呼んで10代で覚えてしまったので今でもすぐに出てきます…
そして、この50を7×7で近似するのとか14×14を200に近似するのは…最近のアマ無国試の計算問題で覚えておくとちょっとだけ計算早くなるかもです(概数がわかれば答えられる問題が少なからずあるので)。
14は7の二倍なので、7が8.5dBを覚えていれば+3dBして11.5dBですね。
まぁ、これはどっちが本人にとってやり易いかだけでしょうから。
アマの国家試験は四/五択で、かつ、選択肢の値がそれなりに離れていることが多いので、概ね分かってればなんとかなりますw
あ、ごめんなさい、最後の7×7とか14×14というのは対数の計算の話ではありませんで、周波数が絡んでくる計算(Qとか共振とか)の計算のコツの話です…
π^2->10
7×7->50
14×14->200
で計算すると筆算なしでいける問題が少なからずあります。
あ、そういう話でしたか。失礼しました。
試験問題もそれを想定して作られていますね。7.1MHzとか14.1MHzとか出てきます。そういう数字は、大抵、2乗する計算が待っていたりします^^
Log 7の覚え方→7人でハシゴ(845)酒。0.845
ちなみにLog 2は→お2人に、蜜を一口(301) 0.301
Log 3 → 身(3)は死なない(4771) 0.4771
ありがとうございます。素晴らしい!
まったく知りませんでした^^;
初めまして、NovaVNA,TinySAを使い始めてたどり着きました。
ところで文中
「もう一例として、4dB。これは10dB-6dB。引算は割算になるので、100÷4=2.5。」
は 100ではなく10÷4=2.5
ではないでしょうか。
ご指摘ありがとうございます。そのとおりです。修正しました。
この文章は最近追加したものです。AIは1アマの問題を解けるか?の記事を追加した際に問題に4dBが出てきたので(無線工学のA-21)。