こないだポチった格安スペアナ「LTDZ」、なんとなく使い方がわかってきた。まだごく一部だけど。
開封の儀
封筒は単なるビニル袋。クッションすらない。
同梱物はUSBケーブルだけ(MicroUSB)。もちろん、これは最初から分かっていたこと。
サイズ感は、NanoVNAやOSA103 miniとほぼ同じ。上から、NanoVNA、LTDZ、OSA103 mini。
開腹の儀
皿ネジが使われているが、パネルに皿ザグリがないのがイマイチ。
ソフトウェア
ダウンロードとインストール、起動
ソフトウェアは、Banggoodの販売ページからダウンロードできる。
Banggood ⇒ LTDZケース付き
ダウンロードしたRARファイルを展開する。
生成されるフォルダ名に中国語が含まれているので、これを削除して英数字記号だけにする。
これをやっておかないと、ソフトがインストールできない。
フォルダ名を英数字記号だけに変更したら、そこに移動。
二つのPDFはマニュアルと回路図。CH341SER.EXEはUSBドライバだと思うが、これは不要(使わない)。
winnwt_4_09.exeをダブルクリックしてインストールする。上に書いたように、フォルダ名に中国語が含まれていると、ここでエラーになる。インストール手順はごく普通だった。
インストールされたWinNWT4.enを起動すればOK。なお、実行ファイルの実体は「winnwt4.exe」。これをこのまま起動するとドイツ語(?)版として立ち上がる。英語版で使うには、「WinNWT4.en」というショートカットで立ち上げる。
後継版?WinNWT5
さて、ここでちょっと問題が。
LTDZの販売ページや本体に記載されいるソフトウェアのバージョンは、NWT4.11.09。しかし、先程の手順でインストールされたバージョンは、4.09。ちょっと古い。果たして、これで大丈夫なのか?販売ページからダウンロードしたものなんだけど…。
このソフトウエアのAboutを見たら、
というURLがあったので、ここにアクセスしてみるも、このソフトの新しいバージョンは見つからない。それどころか、このソフトの痕跡すら見つからない。
そうこうしているうちに、こういうページを見つけた。
タイトルからするとWinNWT4のことではないようだけど、まぁ、そう言うことなんだろう。
さらに調べていたら、WinNWT5というソフトウェアが見つかった。WinNWT4の新しいものが出なくなったので、それをベースに改良したものらしい。
ロシア語だけど、自動翻訳でなんとか読める。
Google翻訳経由のリンク⇒ https://translate.google.co.jp/translate?hl=&sl=ru&…
サイトをチェックした時点では、「WinNWT5_setup_5.1.0_b1826.exe」が新しいもののようだったので、これをダウンロード。ダブルクリックでインストーラが起動するので、案内に従ってインストール。
(デスクトップアイコンはインストールしなかったので)スタートメニューからWinNWT5を選択すれば起動する。
最初の起動でこんなメッセージ。
WinNWT4でこういうのがあったかどうかは覚えていない。
最初の設定
実は、WinNWT4もWinNWT5もどちらも最初は上手くスイープできず、かなり悩んだ。結局は最初の設定がミソだった。
WinNWT4
工具マークのアイコンをクリックするとオプションの設定ウィンドウがポップアップする。メニューからも辿れる(Settings → Options)。
まず最初に、真ん中あたりの「Interface」にポート番号を設定する。
ケーブルを抜き差してCOM9であることを確認したので、それを設定。
続いて、一番下の「Frequencilimits」の「max Sweep」に「500000000」を、「Frequency multiply」に「10」を設定する。これが最大のポイント。実はマニュアルにそのように記載されていたのだけど、イマイチ腑に落ちない。LTDZの最高周波数が4.4GHzなので、それぞれ4400000000(4.4GHz)と1を設定してみた。しかし、これだとまともにスキャンできなかった。相当悩んだ挙げ句、「Frequency multiply」に10倍と指定し、その分「max Sweep」を一桁落としたら上手く行った。ナンノコッチャだけど、ともかくこう設定するもののようだ。詳しい方がいらっしゃったら教えてください。
そして、上に行って「Calibrationfrequency」の「startfrequency」にLTDZの最小周波数の35MHzを1/10した「350000」を、「stopfrequency」に最大周波数の4.4GHzを1/10した「440000000」を設定する。なぜかここにも一番下の「Frequency multiply」の設定が効くらしい。こうしないと、メイン画面でのスイープ範囲が上手く設定できなかったりという影響が起きる。
他はデフォルトのままで「OK」ボタンを押す。
ポートが認識されると、矢印のところが緑で「Online」と表示される。少し時間がかかることがある(10秒とか)。
これで使えるようになった状態。
ポートが認識されていないと、赤で「Offline」と表示される。なお、LTDZ本体には電源スイッチはない。USBケーブルでPCに接続すれば電源が入る。
WinNWT5
WinNWT5もWinNWT4と同じかと思いきや、ちょっと違う。
オプションウィンドウの開き方は同じ。
真ん中あたりの「Interface」にポート番号を設定する(これも同じ)。
ここからがちょっと違う。各周波数は素直にそのままの値を入力する。
- startfrequency: 35000000(35MHz)
- stopfrequency: 4400000000(4.4GHz)
- max Sweep: 5000000000(5GHz)
- Frequency multiply: 10
Frequency multiply
に10を設定するのはWinNWT4と同じ。しかし、周波数は1/10にしないで、そのままの値を入れる。こうしないと上手くスイープできなかった(Frequency multiplyを1にしてもスイープできるが、結果がおかしい)。なお、max Sweepは4400000000(4.4GHz)でも大丈夫だった(一応、補足)。
スイープのテスト
では、試しにスイープしてみる。自分自身の出力をそのまま入力へ接続。
「Start Freq」に35MHz、「Stop Freq」に4400MHzを設定。図のように「35m」の形式で入力できる(mは小文字で)。「Samples」は測定ポイント数。最大は9999のようだ(これより大きい値を入れると9999に矯正される)。「Single」ボタンを押せばスイープを実行する。「Sweep」ボタンだと繰返しスイープになる(WinNWT4では「Continuous」と表記されている)。停止は「Stop」ボタン。ただし、最大周波数まで行かないと停止しない(途中での強制終了はできないみたい)。
スイープ後の様子。
「Start Freq」と「Stop Freq」はHz単位に展開されている。なお、スイープ中は右下の「Progress」バーに進行の様子が表示される。
トラッキングジェネレータをONにしていなかったので、信号は観測されていない。
トラッキングジェネレータをONにするには、「KEY」と記されたタクトスイッチを一度押す。
青のT.G.ランプが点灯する。スイッチをもう一度押すとOFFになる。
赤のSYSTEMランプは常時点滅している(写真を撮ったのは消えたタイミングだったらしい)。
これでもう一度スイープ。
今度は信号が入っている。上の方は激しく暴れている。周波数に対してケーブル長がそれなりにあるし、キャリブレーションもしていないのだから仕方ない。
キャリブレーションを試みるが…
やはりキャリブレーションをやなきゃダメだよなと思い、メニューを探してみる。
それらしいものがあった。「Channel 1 Calibration」を選択。
6dBのアッテネータを入れとと言われる。が、持っていないので、とりあえず、同軸ケーブルで直結のまま(0dB)で進めてみる。
NWTからデータを受信できないと言われる。いや、ちゃんとつないでいる(外したりしていない)。
この状態になると、WinNWTを再起動しないとスイープできない。
キャリブレーションについては、今のところ解決方法が見つからない。
スペクトラム測定
キャリブレーションのやり方がわからないという問題があるが、それは一旦置いておいて、スペクトラム測定を試す。
信号源は、NanoVNA。CW MODEで100MHzを出力させて、これを観測する。
まず、比較用として、OSA103 miniで測定する。
緑がオシロスコープの波形。「なまった矩形波」と言ったところ。
赤(濃いピンク)がFFTの結果。100MHzを基本波として、2倍、3倍、…、の高調波が観測できる。100MHzが-13.70dBm、300MHzが-29.96dBm。
100MHzの部分を拡大した様子。幅は100kHzに見えるが、分解能の限界。
では、ここから、LTDZ + WinNWT5で測定。
100MHzとその整数倍の高調波が見えるが、それ以外にもチラホラ見えている。OSA103 miniでは観測されなかったのでNanoVNAから出ているのではないだろうと思う。。LTDZの問題か?
また、マーカは5ピクセル単位でしか動かせないようで、波形のピークに上手く持っていくことができない。かなり致命的じゃなかろうか。仕方ないので、グラフから100MHzのピークを読み取ると約-5dB。OSA103 miniでは-13.70dBmだった。WinNWTはdBm目盛ではないのでなんとも言えないか。
下の図は、100MHz付近を詳しくスイープしたもの。
随分と奇妙な結果。広がりが1.5MHz以上ある。分解能が低いということだろう。しかも、どういうわけか肝心の中心は凹んでいる。
カーソル位置の値が表示されいるが、波形があれでは…。
もう一つ試しに、438.10MHzで送信したものを受信してみた。
広がりが1.5MHz以上あるように見えるし、やはり、センタが凹んでいる。
こちらのサイトの波形も幅が広いしセンタが潰れているので、手元の個体の問題とか、私の測定方法の間違いということではないだろうと思う。
フィルタ測定
今度はフィルタを測定してみる。
数十年前に作った144MHz帯用のT型フィルタ。
写真は蓋を開けたところ。
なるほど、こんな特性だったのか。シンプルな割にはまずまずかな。
しかし、こういうのはNanoVNAでも測れるわけで…。
こちらだと、145MHz付近の通過帯域がシャープに見える。と言うか、ここでも、LTDZでは分解能が低いことで特性がブロードに見えてしまうということか?
ちなみに、同様のフィルタの430MHz帯用のもの。
NanoVNAだと上の方はアヤシイ。900MHz位までは多分大丈夫、1200MHzまではもなんとか、それを超えると怪しさがかなり高くなる。これよりさらに上の周波数での様子を見ようと思うとLTDZ。
いずれにしても、ここまで高い周波数だとフィルタの作りをもっと考えないと満足な性能は得られないことが分かる。
まとめみたいな話
一応、なんとかLTDZを動かすことができた。と言っても、スイープだけ。トラッキングジェネレータ単体などの機能もあるはずだけど、よくわからず。また、キャリブレーションのやり方がわからないのも問題。
そして何より、分解能の低さが相当大きな問題。スプリアス測定で言えば、「スプリアス領域」の状況を見るのには使えそうだけど、「帯域外領域」の測定は無理。「スプリアス領域」も、ノイズフロアが低くないので満足な測定はできない(大幅に出ていないことのチェックくらいになら使えそう)。
とは言え、まだまだ使い方がよく分かっていないし、勘違いしているところもあるかもしれない(大いにありそう)。こちらのLEDが点灯したところは見たことがないし(いつ点くんだろ?)。
しかしながら、わずかUS$60弱、基板タイプならUS$40位ということを考えれば、まぁ、悪くはないかな。
Banggood ⇒ LTDZケース付き
Banggood ⇒ LTDZ基板タイプ
コメント
簡易スペアナですが、Win NWTではなく、VMA Simple Spectrum Analyserも
あります。ネットで検索してみて下さい。初回起動時のアクティベートが上手く
いかない場合も多いですが、その際は作者に連絡してください。
> https://vma-satellite.blogspot.com/2016/12/vma-simple-spectr…
最近の版になって、LTDZスペアナもサポートされました。作者はハムの方です。
(CT2JSA)
情報ありがとうございます。このページは見た覚えがあります。が、そのときはLTDZとは無関係なようだと思ってすぐに閉じたように思います。改めてよく見たら、確かにLTDZの文字もありますね。追って試してみようと思います。
大変なご苦労の成果、ありがたく利用させていただきます。
あまり本質的なことではありませんがT.G.はトラフィックジェネレータではなく、観測周波数と同じ周波数を発生させるトラッキングジェネレータです。かなり高価なメーカー製のSpectrum Analyzer でもついていないことが多いので、この価格の製品についていることに驚きました。
おっしゃるとおりですね。なぜ間違えたんだろう…?
修正しました。ありがとうございます。
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WINNWT5を入れたけど COM9で認識せず
ドラーバCH340を入れてもOfflineです。