NanoVNAのファームウェアの派生版「NanoVNA-Q」というものがあることを教えてもらった。教えてくれたのは、NanoVNASaver作者のRuneさん。
ダウンロード
早速探してみたところ、こちらで公開されていた。
主な変更点を抜き出しておく。
– added impedance label for current marker
– improved noise floor, imbalance gain, measurement quality and data transfer to PC
– added scanraw command (allows to read raw gamma data for unlimited point count with no calibration apply)
– added color command (allows to customize trace colors)
– fixed frequency rounding issues
– fixed multithreading issues
– added si5351 PLL lock hardware check
– fixed couple of bugs
一番上のマーカ周波数でインピーダンスを表示してくれる機能は便利そう。二番目のノイズフロアの改善なども魅力。
そう言うわけで、早速インストールしてみる。
まずは、こちらからダウンロード。
現時点での最新版は、0.4.3。
NanoVNA-Q-0.4.3-20f33ba.zipをダウンロードし、ZIPを展開。
あれ?BINファイルがない。代りに、DFUファイルとHEXファイルがある。どうしたものか…。
ファームウェアの書込み
あちこち検索したり、dfu-util.exeのマニュアルを見たりした結果、引数の指定でDUFファイルを書き込めそう。
dfu-util.exeを使うので、基本的な手順は、こちらの記事の通り。
では、やってみよう。
まずは、NanoVNA本体をDFUモードで起動する。デバイスが認識されていることを確認。
書込みコマンドは次の通り。
dfu-util.exe -a 0 -D ..\NanoVNA-Q-0.4.3-20f33ba\NanoVNA-Q-0.4.3-20f33ba.dfu
「-D」の後ろは、ダウンロードしたDFUファイルを指定している。DFUファイルの名前などが長いのでややこしく見えるが、要するに、「dfu-util.exe -a 0 -D」の後ろにDFUファイルを指定するだけ。BINファイルの場合よりも引数が減ってシンプルになる。
実行。
上手く行ったようだ。
しかし、NanoVNA本体の画面は、DFUモードである旨を伝える画面のまま。オリジナル版のファームウェアでは自動的に再起動してくれたのだけど。オリジナル版との違いではなくて、書き込んだものがBINファイルなのかDFUファイルなのかの違いなんだろうか?わからないけど、ともかく、これまでの経験とは挙動が違う。
ちょっと不安になりつつ、NanoVNAの電源を入れ直してみたところ、無事立ち上がった。
動作テスト
バージョン情報を表示してみた。
タイトルがNanoVNA-Qになっている。バージョン番号も0.4.3-20f33baと見える。一番下には、電池の電圧や温度情報も。
ファームウェアがちゃんと書き込まれたようなので、タッチパネルのキャリブレーションを行って保存。また、NanoVNAとしての動作のキャリブレーションも行い、保存。これで、準備は完了。
まずは、試しに、こないのだの1.2GHz 2/3λヘンテナを測ってみる。
それらしく測れている。アクティブなマーカ(ここでは、マーカ2)のインピーダンスもちゃんと表示されている。これは、アンテナアナライザとして使うのにも嬉しい。
なお、このキャプチャは、NanoVNA-Qのソースに入っているnanovna.pyを使わないと上手くいかない。オリジナル版の方でキャプチャすると、キャプチャ後にスイープ範囲が1MHzから900MHzに強制的に変更されてしまった。
そして、こちらがNanoVNASaverを使ってダミーロードをスイープしてみた様子。
高い周波数域での暴れが減った。明らかに良い。「ノイズフロアの改善」の効果だろうか?
ちなみに、これが以前測定したもの。
白トカゲ版も良くなった!
これほど改善しているということは、ひょっとしたら、白トカゲ版でも期待できるかも。
やってみよう。
画面がないので、ファームウェアを書き込んだらNanoVNASaverでファームウェアのバージョンをチェック。
バージョン番号はOK。
早速、キャリブレーションを行ってから、ダミーロードをスィープしてみる。
やはり、かなりいい。1400MHzを超えるようなところはさすがに無理だけど、1200MHz帯ならVSWR 1.2程度に収まっている。
こちらが、以前のもの。
これでは、1200MHz帯でVSWR 1.4位まで行っていた。この違いは大きいと思う。
なお、この白トカゲ版は、シールド板を後付けしていることを補足しておく。外してのテストまではやらない。
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