「NanoVNAを使ってみる」シリーズ、ここまででキャリブレーションとアンテナアナライザを見てきた。今回は、フィルタ等の通過特性の測定をやってみる。
LPFを測定
NanoVNAでのフィルタ特性の測定はとても簡単。アンテナアナライザとして使ったときのように、被測定物をつなぐだけ。これで、自動でスイープして結果を表示してくれる。ざっくり言えば、CH0だけにつなげばアンテナアナライザ(反射特性)、CH0とCH1の両方を使うと通過特性の測定器とし使える。スイープ範囲の設定や、グラフの表示/非表示、マーカの操作などはアンテナアナライザとして使ったときと同じ。
今回の測定対象は以前自作したLPF。50MHz用に作ったつもりだけど、30MHz位までしか使えなかったという代物。OSA103 miniでも測定したことがあるので、比較しやすい。
下の図は、測定範囲を
- センタ: 50MHz
- スパン: 100MHz
としたもの。なので、気持ち的には0~100MHzだけど、NanoVNAの下限周波数が50kHzなので、50.050~100.050MHzになっているみたい。
マーカを、20, 30, 50, 80MHzに置いている。SWRのグラフ(緑)は0.1/Div。
スミスチャートと位相のグラフを抜いて、減衰特性とSWRだけにしてみる。
かなりスッキリした。
比較として、以前OSA103 Miniで測定したものを再掲。
OSA103 Miniでは上の方の周波数はノイズが乗ってしまっているが、NanoVNAではそう言うことにはなっていない。OSA103 Miniではインピーダンスの絶対値と、リアクタンスのグラフを表示できるが、NanoVNAにはそれはないようだ(ファームウェアがどんどんバージョンアップされているようなので、機能が追加されているかもしれない)。
いずれにせよ、どちらの測定器でもだいたい同じ結果にはなっているので安心した(周波数範囲(横軸)はほぼ同じだけど、縦軸はスケールが違うので、その点注意)。
同軸ケーブルのロス
続いて、同軸ケーブルの損失を測ってみる。測定対象は、RG-58C/U 10m、両端BNCコネクタ付き。秋月電子通商で販売されているもの。
SMA – BNC変換コネクタ(×2)が追加された状態での測定。
一番上の青のグラフが損失。450MHz付近で-3.33dB(マーカ3)。
協和ハーモネットの仕様書によれば、1kmあたり200MHzで230dB、400MHzで459dB。フジクラの仕様書でも、200MHzで230dB/km(400MHzは記載なし)。だいたいそれらしい測定結果になっている。
ちなみに、このケーブルは、以前、FA-VA5でも測定したことがある。
このときの測定では、435MHzで-3.5dB弱。この結果とも概ねあっている。
ガルバニックアイソレータの挿入損
もう一つ、今度はフィルタではないけれど、手近にある高周波物として、これまた自作のガルバニックアイソレータを測ってみる。
では、測定結果。
使っているトランスが0.4~500MHzで挿入損失が3dBというスペック。それは満足しているようだ(504MHzで-2.93dB)。SWRも(その周波数範囲で)一番高いところでも3.5程度。
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