2019年7月16日20:45(JST)頃から東海・関東上空をISS(国際宇宙ステーション)が通過する。
このタイミングに合せてISSによる反射通信実験をやってみませんか、というお誘い。現実的にはかなり厳しそうだけど、できたら面白い。やるだけやってみたい。
実は、7月5日に一度やってみた。
結果はまったくダメ。深夜の深い時間帯だったので、ワッチ局も少なかっただろうし。
16日は20:45頃なので、割といい時間ではなかろうかと。
ということで、「面白そうかも!」と思ったら、ぜひやってみませんか?
通信方式
- FT8
送信時間が短い物が良い。流星散乱通信で良く使われるMSK144が良いのかもしれないけれど、運用者が少なそうなので、次善の策としてFT8。送信時間の短さならFT4だけれど、正式リリース前なのでさすがに運用者は少ないでしょう。
周波数
- 50.313MHz
- 144.460MHz
FT8での飛行機反射通信として割とよく聞くのが6mと2mなので。
送信タイミング
- 特に決めない
oddかevenのどちらかに固定してしまうと、極端な話、全局のタイミングが同じになってしまうと、誰も受信しないことになってしまうので。ただし、非常に強い局が見える場合は、それとタイミングを合せて抑圧を回避するなどの工夫をする。
受信確認
- PSK Reporterでチェック
もし聞こえたら、積極的に応答。
こんな感じでどうでしょう?時間と興味があればやってみませんか?結果は、この記事にコメントで教えてもらえると嬉しいです(下の方にコメント欄があります)。できれば送信設備(送信電力、アンテナなど)の情報もあわせて。
受信だけでもOKです。FT8の申請・届出が済んでいないとかでも、受信してみると思わぬ遠くの局が見えるかもしれません。PSK Reporterにレポートがスポットされるのも非常にありがたいです。これなら、無線機の前にいる必要もないですし。
まぁ、あまり難しいことは考えずに、これくらいの時間に運用していれば、運が良ければISS反射の電波が確認できるかも、くらいのつもりで。
ついでに、というか、これをきっかけに、VHFでのFT8運用者が増えたら面白いかなと思います。
それと、16日は04:00過ぎにもISSが南東北あたりを横断します。
深夜のものすごく深い時間帯、と言うか、早朝のものすごく早い時間帯なので、この時間に運用するのはなかなか難しいかもしれませんが、タイミングがあうなら予行演習がてらやってみるのも良いかもしれません。
なお、ISSの通過タイミングは、JAXAのサイトで調べられます。
それから、「自分が思いつくようなことはすでに他の人がやっているの法則」で、やはり実践者がいらっしゃるようです。Twitterで教えてもらいました。
コメント
面白そうですね。
2.1.0の正式バージョンもリリースされたので50MHz FT4でトライしてみます。
変更申請は「すみやかに行う」と言うことで。
問題はヨーロッパが開けている時間なので散乱で国内局が聞こえている事があると言うこと。
静かなことを期待して。
WSJT-X 2.1.0正式版の情報、ありがとうございます。早速インストールしました。マイクレベル強制リセットが直っていて快適です。
ISS反射通信チャレンジは、送信時間の短さを考えるとFT8よりもFT4の方が有利だと思います。でも、今の段階ではFT4運用者(受信だけを含む)は少なそうかなとも思います。また、FT4は初期版しか試したことはないですが、デコード率の低さが気になっています。新版で改善されていることを期待しています。
そういうようなことを考慮し、今回は2m FT8でトライしてみようと思っています。6mはアンテナがないので。
結果を教えてもらえると嬉しいです。
1日で審査終了になったので、晴れてFT4正式運用を開始しました。
-20dBのレポートで交信完了できましたし、何も聞こえていない(私の耳の問題ですが・・)のに-18とか-20dBがデコード出来てるので、まあまあ使い物になりそうです。
早いですね。こちらはまだ「審査中」です。すでに以前届出ているものの修正だけなので、さっと審査終了になるのではないかと期待しています。
それから、-20dBで交信できたというのは、やはり、以前よりは改善しているようですね。また、以前はレポートの数値は悪くなくてもリトライが多かったように記憶しています。このあたりも改善しているかですね。まぁ、仕様を変えたくらいですから、きっと良くなっているのだろうと思います。
50MHz FT8で実験 自局QTH岡山県津山市
アンテナ 6mH 1/4λホイップアンテナ
8時45分から2度CQ送信の後1分連続受信を1セットで3セット計6分間(8時45分~51分)最後のサイクルで近距離(100Km)からの応答がありましたが、これは普通にGWが届く距離でドップラー効果も伴っていませんでした。
残念ながら失敗でした。
Psk Peporterでは283Km離れた愛知県で-23dBのリポートが上がっていました。
普段3エレHB9CVで-10dB位の局なのでこれもISS反射では無いようです。
面白いので今後も試してみますね。
レポート、ありがとうございます。6mでも確認できなかったですか。残念ですね。
今回の結果を、こちらに簡単ではありますが、まとめてみました。
https://www.jh4vaj.com/archives/12198
2007年12月にDF2ZCとDH7FB間で144MHzCWによるISS反射通信の成功例がウィキペディアの(何故か)「月面反射通信」の「歴史」の所に記載があります(両局とも2mでアクティブなEMEerです)。
ただ、ISSは秒速7.6km(時速27000km)にもなりそのドップラー偏移は2mや70cmでは数KHz~十数KHzにもなります(周波数に比例)。
実際、トラポンを介する通信(ISSでは145MHz/437MHzFMリピーター)ですらISSは周波数あわせが難しく、ましてや直接反射となると2地点の近くを通るルートでないと電波強度的に難しいのでドップラー偏移の変化が極大になるこの状態のときにFT8で必要な周波数安定度を保つのは困難(ほぼ不可能?)ではないでしょうか。
また交信を目的とせず、特定の周波数でISSに向けて発する電波(CWビーコンなど)を前もって計算しておいた軌道やドップラー偏移に従って追跡する事は可能かも知れませんが・・・
以下ISS反射通信について、ISSリピーター使用経験もふまえての考察です。
ISSの時々ONになるトラポンは145/437MHzFMリピーターですがアップリンクが437MHzの時はなかなかトラポンの受信周波数に載らずリグのダイアルに手が掛かります(送信周波数の微調整が必要)。ダウンリンク(145MHz)は何とかAFCに乗りますが。
ISS反射の場合はリニアトラポンと感覚は同じだとは思いますが(ただし逆ヘテロでは無く順へテロ)、遠くをゆっくり近づいてくる場合はともかく、近くを一気に通過するときはドップラがプラスから一気にマイナスに変化します。
あと、衛星通信でも度々話題になるのですが、衛星が交信しようとするある2つの地点の近くを通過する時、それぞれの地点から見る衛星の速度が違う(ドップラー偏移も違う)ので益々周波数追尾が難しいのです。
よくある衛星通信用リグコンはあくまでも自局から衛星から(衛星へ)の信号の周波数を送信周波数を固定した場合・受信周波数を固定した場合・衛星での送受信周波数を固定した場合の送受信周波数を補正してくれるソフトですが、大抵の物はこの2地点間の差異を考慮してくれません(自局と衛星との地理的・速度的位置関係のみの補正)。
ISS反射通信では「送信固定」「受信固定」「衛星固定」のどれを使用するかも前もって決めておかないといけないですね。あとリグコンソフトも通常の衛星用の物は使えないので手動で頑張るか新しく組むかです。
どちらにしてもISSが遠方にあるゆっくりとしたドップラー・ドリフト(ややこしいですが「偏移」の「変化」ですね)の時でないとFT8においては周波数の自動追尾は難しいでしょう。
送信を固定周波数(144.460MHzなど)でやるにしても反射して帰ってきた周波数はドップラでプラスマイナス数KHz動きますので、まずはその斜めに見える信号の軌跡を追えるかどうか(デコードできるかどうかは二の次)でしょうか。6mでもプラスマイナス1KHz以上は動くと思います。
詳しい解説、ありがとうございます。
ISS反射というのは無謀な挑戦と言うか、気楽に「ちょっと試してみようか」という範疇から完全に外れるもののようですね。どなたか、詳しく、かつ、物好きな方の挑戦を待ちたいところです。
一昨日7/17の21時台のパスは当地でMEL18度と比較的低仰角(ドップラー偏移の変化が緩やか)なのでISSにビームを向けて「たまたまISS反射したFT8局」を探してみました。
CALSAT32で視界に入った(AOS)ころの144MHzでのドップラが±2KHz前後なので実際の周波数偏位は(送信→反射→受信の経路分の)倍の±4KHzかと、FT8でCQを出しつつ逆偏波(EME用のクロス八木なので)も含め当該周波数範囲を探しましたが、ドップラーの影響を受けた斜めの信号軌跡は見つかりませんでした。
いきなりFT8デコードは難しいので、まずはISS反射されたそれらしき信号を探すところからでしょうか。
しかしISSは非常に高速に上空を動きますので、お月見用設備での追尾はしんどいです(真北を通過するのもありますが)。
実験結果をお知らせいただき、ありがとうございます。
昔々、AO-7だったか、AO-8だったかのダウンリンク(28MHz)をワッチしたことがあります。ドップラ効果を実際に感じたということは覚えているのですが、どのくらい動いたのかは覚えていないです。試しに数回ワッチ下程度ですので。
ISS反射は、相当難しいみたいですね。
ISS反射通信の成功例があるんですね。情報、ありがとうございます。
ドップラ効果ですが、私の怪しい知識では、「見かけの速さ」によるものだったように記憶しています。そうであれば、ISSは非常に高いところを飛んでいますので、地上からは割とゆっくり動いているように見えるので、ドップラ効果もそれなりの範囲に収まるのではないかと思うのですが。間違っていたらご指摘いただけると助かります。
ISSからは、ときどきSSTVの送信実験が行われていますよね。これが受信できるようなので、FT8でもいけるのではないかと期待したのですが…。
https://www.hamlife.jp/2018/10/23/iss-sstv-201810/
ISSや衛星で使われるSSTVは、たしか主搬送波FM変調だったでしょうか。AFCである程度周波数補正可能で、パケット通信などもFM変調ベースだったと思います。一方RTTY等はリニアトランスポンダが必要ですが、周波数偏位の関係で難しいと思います。ISS反射通信も反射前・反射後の周波数はリニアなのでFT8では同様の困難があると思います。HFのような主搬送はSSB変調ではないのですね(電波形式が共にF3Fというのは不思議ですが・・・)
ドップラーは観測点からみた対象物体の「向かってくる」・「遠ざかっていく」方向の相対速度に比例します。遠くてもとんでもない速度です。低軌道衛星では144MHzでも数KHz、435MHzでは十数KHzにもなります。EMEでも月ですら144MHzでは±400Hz、432MHzでは±1KHz程度のドップラーはあります(要因は主に観測側の地球の自転ですが)。
失礼しました。あのSSTVはFMを使っているのですね。私が挙げた記事にも、ちゃんと書かれていました。
ドップラ効果に関しては、例えば救急車のサイレンを思い浮かべると数十Hzくらい動いていそうに思います。可聴周波数でその程度(数%)動くのだから、VHFであれば相当動くことになるのでしょうね。なんとなくですが、そんな気がしてきました。
素人の「できたら面白そう」は、本当に完全に素人考えだったようです。ありがとうございました。
ご承知と思いますが、FT8モードでの地上波交信、144/430/1200MHzでは結構、大変です。IC-9700では、144MHzが限界で、430/1200MHzではそのままでは交信は困難です。温度補償あるいはGPSと同期した高精度の10MHz外部発振器を接続して行う必要があります。FT8の信号の帯域幅は約50Hzですから、無線機の温度ドリフト、衛星通信でのドップラーシフトなど周波数変化が大きいと交信が成立しません。ジェット機の飛行速度に対して衛星の飛行速度は約30倍と言われているので、飛行機散乱でFT8の交信ができても衛星反射では、ドップラ制御ができないと交信は定性的には困難と思います。
430(以上)でのFT8は未経験です。144では結構ドリフトしている信号もデコードできているという印象です。ISSの見かけ上の速度はジェット機と同じくらいに見えた(ドップラ効果は同程度じゃないかと思った)ので通信できるかもと考えたのですが、難しんでしょうかね。どなたか詳しい方が計算していたりしないでしょうかね?